専門的な科学技術記事

「乗用車起源CO2排出量の将来予測」
(大西輝明、島野圭司(温暖化防止うらやす) 2017年2月)

 自家用乗用車利用による将来のCO2排出量の予測法を提示した。一般家庭が保有する普通および小型乗用車、および軽自動車について、その各々による排出量の全国平均値および東京都値を提示方法論に従って算出した。世帯毎の乗用車購入数および走行距離を決定づける因子は、過去の統計量の重回帰分析によって選定した。これら因子の将来の時間挙動を推算して購入数等の将来値を得、それらを用いて将来のCO2排出量の経年挙動とその信頼範囲とを算出した。これによれば、わが国全体として2030年での排出量の2013年度比を75%程度に低減するには、環境対応型車の積極的導入をはかる必要があるが、東京都に代表される都市部ではそうした必要性は薄いことなどがわかった。
自家用乗用車/CO2排出量/将来予測/経年挙動/重回帰分析
 

歴史事象の発生間隔はベキ乗分布をなすか?」
(大西輝明 2014年9月18日 第42回STS研究会報告)

 紛争や戦争、およびそれに類する歴史の継続期間中での事象発生の時間間隔τを十数件にわたって調べた結果、これらの多くは概ね -1〜-2 のベキ値を持つτのベキ乗型分布をなす可能性が判明した。こうした歴史事象発生時刻の間隔頻度に関する確率分布を調べ、それを説明するモデルを提案した。当該モデルはベキ乗型や stretched exponential 型の確率分布をよく説明できることがわかった。
歴史事象/発生時間間隔/ベキ乗分布/stretched exponential/記憶/忘却/生起率/非線形性

「常温核融合」/低エネルギー核反応の現状
(伊藤泰男 2013年12月19日 第39回STS研究会資料)

 1. 常温核融合の歴史は、exploding wireの実験に代表される1920年代、「常温核融合」フィーバーの時代、基礎研究と山師たち(?)の現在 の3つの時代に大別される 2.実験的に確からしい事実とはどのようなものか 3.実験結果の例 4.どのような理論があるのか:Widom-Larson Theory 5.人々はどのように翻弄されているのか:懐疑派、積極派‐真面目に研究しようとする層、ベンチャー群、信奉者あるいは野次馬 6.参考文献

Fast Breeder Reactor Programs: History and Status (Research Report of the International Panel on Fissile Materials, 2010/02)
(和文抄訳 伊藤泰男)

 1.概観:プルトニウム増殖炉の盛衰:なぜ増殖炉の商用化は失敗したのか:増殖炉の展望/2.フランスの高速増殖炉:Rapsodie:Superphenix:Phenixからの軍用プルトニウム/3.インドの高速増殖炉:高速増殖試験炉FBTR:兵器用プルトニウム?/4.日本の増殖炉と燃料サイクル:「もんじゅ」事故後の重点の移動:日本の高速増殖炉開発における社会政治学的な要因:Pu備蓄の管理/5.ソ連・ロシア高速炉計画/6.英国の高速炉計画/7.アメリカ合衆国の高速炉開発:世界最初の高速炉Clementine:LAMPRE:アルゴンヌ国立研究所での増殖炉研究の統合:クリンチリバー増殖実証炉の盛衰:集積型高速炉と熱プロセシング:国際協力/伊藤泰男による補足:中国の高速炉の開発状況

★ 人々の説得性は「人々の文化」にどれ程 影響されるか-多粒子モデルによるシミュレーション-
(大西輝明、アウレリア・ヴィケス : 2009年5月30日 : 日本語アブストラクト) 

 一見不確かで推計学的な取り扱いしかできない現象を「科学的」に解明しようとする試みは、わが国では寺田寅彦の時代からなされてきた。これは近年の複雑系科学への注目とともにかなりの程度、理解が深まった。人々の行動パターンや心の動きなどを数理的にモデル化しようとするのも、こうした試みのひとつである。当論文では「説得効果」が説得対象層の文化に依存してどのように異なるものであるかを多粒子モデルによってシミュレートしている。さらにこのモデルを用いて、特定の文化を共有する少人数の人々を対象に説得活動を行う場合、説得者の“説得強度”や“説得時間”の変動がいかに人々の意識に離合集散をもたらすかを、コスタリカ人の場合について例示している。

★ リスクコミュニケーションに関する研究会資料(大西輝明)

 「科学技術のリスクコミュニケーション」など、大西輝明による資料は以下の2サイトに掲載:

 
http://www.ohnishi.ecnet.jp/RecentWorks/Risk%20commun.pdf
  http://anshin-kagaku.news.coocan.jp/a_index_risk-com.html

★ 放射線周辺用語の一問題 -”消滅ガンマ線”を例として
伊藤泰男)

 一部の専門家の間では”消滅ガンマ線”という表現は誤りで、”消滅放射線”ならば正しいとする。賛否に係る議論は多いが、その説得性は乏しい。専門家の間でさえ了解しあえる言葉で話す努力が行われていない中で、一般の人達に科学の知識を伝えることなど、望むべくもない。「科学離れ」が大きな問題とされている現在、科学を業とする人達の側にもに大きな責任がある場合の一例として当問題を取り上げ、議論する。当報文は「放射化分析研究会」18号(2005年4月)への原稿をアプデートしたものであり、また、第1節に相当する部分を圧縮したものは、「Isotope News」誌4月号(2005)に掲載されている。
 消滅ガンマ線は誤用か?/なぞなぞ遊び/何が問題か

 文化に依存する環境意識とそれに則る環境教育 : Environmental Education based on Culture-dependent Environmental Cognition
(大西輝明、ワイル・タイフール、伊藤泰男 : 2006年8月7日)

 ヨルダンと日本の大学生の環境意識調査を行い、社会構造や文化の違いに基ずく比較と検討を行った。環境に係る価値観や意識は両国の文化の違いを顕著に表出しており、また環境志向行動は両国学生の科学知識の多寡によっても支配されるところが大きい。調査結果から、文化に依存したいかなる環境教育カリキュラムが環境保護意識を培うものとなるかを議論している。
cognitive survey, environment-oriented behavior, environmental values, environmental conception, environmental knowledge, environmental education, information offer, risk communication, social culture